情報の海の漂流者

web上をさまよいつつ気になったことをつぶやいています。

「みんなの党」系さいたま市議・冨田かおりは市職員の「多額な時間外労働手当」のみを問題にした。「過重な労働問題」は無視したのソースは?

このニュースについては、僕は

過労死への恐れではなく、無茶な残業による収入アップの方が話題になるって色々詰んでる。

と書いたのだが、これは「誰が」酷いのかは省略してコメントしてある。
1.記事内容からは酷いのがJ-castなのか、議員なのか、それとも両方なのかが分からない
2.google newsで調べてみたがそのではj-cast以外の報道が発見できなかった。
3.さいたま市議会の議事録は、過去のものが閲覧可能になるまで数日かかるため、生放送を逃してしまった僕は原文にあたることができなかった
4.市議のブログで質問の原文が確認できなかった
以上の理由から、誰が「酷い」のか判別できなかったからだ。

しかし、ネット上ではこの辺を断定して書いている人が多くて、何か重大な情報を見落としているのではないかと不安になる。
例えば


どうやら記事は「改革フォーラム」とやらに属する冨田かおりというみんなの党系のさいたま市議の問題意識に沿って書かれたものらしいが、「さいたま市職員の多額の時間外労働手当は怪しからん」と言いたいのだろう。


だが、私が「怪しからん」と思ったのは、年1843時間だの1925時間だの2100時間だのの長時間の時間外労働を強いる労働条件のことだ。これだけ時間外労働をしていれば、当然休日出勤は当たり前だろうし、自分のために使える時間などほとんどない。10年ちょっと前、2,3か月続けて月200時間ほどの時間外労働をしていた、大手企業に属する当時30代前半の若手社員が脳内出血に倒れ、障害を残してしまった事例を私は知っている。


ところが、この記事を書いた人間も、冨田かおりとかいうさいたま市議も、おそらく彼女が属する「みんなの党」も、そんなことにはまるで無頓着で、「多すぎる時間外労働手当」のみを問題視している。おかしいのではないか。記者や冨田市議、それに「みんなの党」の発想は「ブラック」そのものだと思った。


なぜ「みんなの党」系さいたま市議・冨田かおりはさいたま市職員の「多額な時間外労働手当」ではなく「過重な労働」を問題にしないのか - kojitakenの日記


こちらの記事とかはどうやって市議やみんなの党が"「多すぎる時間外労働手当」のみを問題視"したと判断したのだろうか?
論拠となった情報が明記されていなかったため、よく分からなかった。
該当市議のブログをチェックしてたら、当日の質問一覧が掲載されていた。市職員の労働関連の質問は以下の通り。

1、市職員の働き方について
(1)時間外勤務の実態
(2)仕事時間ダイエットプランの進捗
(3)夜型仕事の改善策
(4)健康管理とメンタルヘルス


9月議会 一般質問に登壇します | 冨田かおり公式ホームページ

それ以外にも以下のような質問をしている

2、都市計画マスタープランの改訂について
(1)まちプラン市民会議の提案をどう意見集約し、改訂都市マスに反映するのか
(2)自然環境保全と土地利用のあり方
3、別所沼の水質改善について
(1)流入水確保に向けたスケジュール
(2)かいぼりした場合の費用と底泥の除去費用試算
(3)市民力の活用について
4、 上谷沼調節池の価値について
(1)上谷沼の自然的価値を市はどのように捉えているか
(2)緑の基本計画等に盛り込む予定は


9月議会 一般質問に登壇します | 冨田かおり公式ホームページ

これを見る限り、j-castが話題性がある一部質問だけを取り上げ、他の質問内容は報道されなかった可能性が否定できない気がする。
特に「健康管理とメンタルヘルス」というのは、過労の問題に言及しないで困難なテーマで、この部分を確認するまでは市議が"「多すぎる時間外労働手当」のみを問題視"したのか判断することは困難だと僕は思っている。
また、この件について市議は質問後二つのブログ記事を上げているが、そこではワークシェアによる総残業時間の縮減についても振られている。

またブログ記事内には
"病気休職している人もいる。"
"午前8時半の開庁前には出勤し、24時まで残業する生活を毎日のように続けていたら、ほとんどの人は体を壊すだろう。もしくは、それでは体が持たないから?省エネモード?にならざるを得ない。"
"時間外勤務が年1000時間以上の職場というのは異常だ。職員の体は大丈夫なのだろうかと心配になる。"
等、職員の体調に関する記述が何箇所か存在する。
j-cast記事は公務員の残業代問題にパラメーターが振り切られているのだが、ブログを読む限り市議はもうちょっと過労問題側に寄っている印象を受けた。
現時点では市議が「過重な労働問題」は無視したと断定するのはちょっと危険な気がする。
僕は現在市議の主張がj-castによって報道されるまでに、ニュアンスが変化している可能性を考慮し、議事録を確認するまでは市議に対する評価を保留しようと思っている。