情報の海の漂流者

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阿久根市長竹原信一さんと防災無線についてのメモ

鹿児島県阿久根市の竹原信一市長(50)が5日夜、同市の防災行政無線で「マスコミは私を陥れようとしている」などと主張した。防災行政無線は市内各地の屋外や一部の家庭に設置されており、竹原市長の話は午後7時半頃から突然、数分間流れたという。複数の市民によると、市長は、昨年11月に自身のブログに障害者の出生を否定するような文章を掲載したことについて「ブログを発信して1か月後にマスコミが騒いだ。私を陥れるためだ」と訴えた。


阿久根市長、防災無線使いマスコミ批判 : 社会 : YOMIURI ONLINE(読売新聞)

読売オンラインを見ただけだと、深夜に突然狂を発した市長が電波ジャックを行い、私的な主張をしたように見える。
だが実際のところは少し違うようだ。

共同通信の場合


ブログ市長として知られる鹿児島県阿久根市の竹原信一市長が5日夜、市の防災行政無線を使った市民へのあいさつの中で、ブログの記述をめぐって障害者団体から批判された問題に触れ「マスコミが私を陥れようとしている」などと話していたことが6日、関係者への取材で分かった。
 複数の市議によると、無線を通じてあいさつが流れたのは5日午後7時35分から数分間。竹原市長が市政運営を報告する中で、ブログの記述について「文章を掲載して1カ月後にマスコミが騒いだ。陥れるためだ」と報道を批判したという。

 竹原市長は昨年11月、ブログに「高度医療が障害者を生き残らせている」などと書き込み、抗議を受けた。現在は「修正中」としている。

 市総務課によると、今回の無線使用は市民への年頭あいさつが目的で行政事務上の利用に当たるが、内容について上野正順総務課長は「市長の判断なのでコメントする立場にない。市長は取材には応じないと言っている」としている。

阿久根市長、マスコミ批判 防災無線でブログ問題 - 47NEWS(よんななニュース)


ポイントになるのは、午後7時35分という時間と、市民へのあいさつの中での発言と、行政義務上の利用に当たるのではないか、この3点。

阿久根市防災無線の放送時間について

区分 夕(夏) 夕(冬)
時報(屋外) 6時 12時 18時 17時
放送(屋内) 6時5分・6時50分 なし 20時 19時35分
放送(屋外) なし なし 19時 18時30分

阿久根市: 防災情報(防災行政無線について)より


19時35分は定時放送の時間であり、これは定時放送における挨拶の中での出来事、という可能性が高い。

毎日新聞を見てみよう


鹿児島県阿久根市の竹原信一市長(50)が5日夜と6日早朝、「意図的に誤解を誘導するキャンペーン」などとの報道批判や竹原市政の実績を訴える録音テープを市の防災行政無線で放送した。市議らは「無線を悪用し、選挙演説しているようなものだ」と批判。電波の目的外使用を禁じた電波法に抵触する可能性もあり、総務省九州総合通信局(熊本市)は「情報収集中」としている。

 市関係者によると、放送は約4分20秒。竹原市長は4日朝、市総務課にテープを手渡し、放送を指示。5日は午後7時半過ぎに、6日は地区別に午前6時過ぎと同6時50分の2回に分けて流したという。

 複数の市民らによると、新年のあいさつのスタイルで、竹原市政の実績をアピール。昨年11月に自身のブログに書いた障害者に対する差別的記述が約1カ月後に報道されたことを「誤解を誘導するキャンペーン」と批判。「新聞社は、私が本当の情報公開をやることで進んでしまう社会改革に危機感を覚えているのだと思う」とも述べた。「今後も出されるであろう新聞騒ぎでは、しばらくの間、大目に見てほしい」と述べたという。

阿久根市長:防災無線で報道批判 電波法抵触の可能性も - 毎日jp(毎日新聞)


こちらもやはり、定時放送の時間であるということを裏付けしている。

防災無線の内容について

阿久根市のウェブサイトから、最近3件の防災無線の内容を引用してみよう


学校給食センターでは,平成22年度給食用物資の納入業者を募集します。
 募集の対象となる業者は,大規模小売店を除く市内の業者です。
 希望される方は,1/29(金)までに,給食センターへ申し込みください。
 なお,詳しくは,給食センター ?72-7081までお問い合わせください。

学校給食用物資納入希望者の公募について



「広報あくね12月号」と一緒に配布しました「1月のこよん」で,当番医の問い合わせ先 である阿久根消防署の電話番号に誤りがありました。
 阿久根消防署の正しい電話番号は,?72-0119です。お詫びして訂正します。

1月のこよんの訂正放送



市選挙管理委員会では,平成22年度の農業委員会委員選挙人名簿の登録申請の受付を行います。
 申請の対象となる方は,平成22年1月1日現在,市内に住む20歳以上の方で10アール以上の農地を耕作している本人や同居している家族,並びに農業生産法人の方で,従事日数が年間60日以上の方です。
 詳しくは,選挙管理委員会事務局又は農業委員会事務局へお問合せください。

農業委員会委員選挙人名簿の登載申請について


防災無線という名ではあるが、実態としては市の広報的なものであることが分かる。
問題はこれが私的な利用であったかどうかだが、全文を見ることができないので、何とも言えない。
竹原信一さんのブログに事の顛末が掲載されるまで判断を保留したい。

まとめ

  1. 発狂した市長が電波ジャックしたわけではない(録音されたテープが放送されている)
  2. 定時放送における新年の挨拶の中でマスコミの報道について言及した
  3. 阿久根市の防災無線は広報的に使われている
  4. 電波法違反などの疑いで調べられている


それにしても、読売・オンラインの記事だけを見た人は、市長が気が狂ったと勘違いしてしまうのではないだろうか。