情報の海の漂流者

web上をさまよいつつ気になったことをつぶやいています。

うーん。でもあれ2009年の記事をリライトしたものだよね?

派生したカギカッコ論争だけに言及するのもあれだなので、こっちにも。


ここからは、机上空論ではなく、具体的な事例について考えましょう。僕がリアリズムと防衛を学ぶ » 「戦争なんか起こるわけがない」は思い込みだという歴史的実例という文章を読んだ時、一番腹が立ったのは、この文章が現実主義者の立場から書かれ、フォークランド紛争や湾岸戦争といった過去の事例を紹介して持論を主張しながら、今起きていて、そして、この持論が必ず援用される、というか、その現在進行形で発生している実例のために持論を主張しているはずなのに、その実例自体に対しては一切文章内で明示していないという。点です。このブログの著者は現実主義者を名乗っているのに、一番見つめなければいけない現実には、触れようとしません。

はっきり言いましょう、リアリズムと防衛を学ぶ » 「戦争なんか起こるわけがない」は思い込みだという歴史的実例は、尖閣諸島・魚釣島の領土問題を念頭に置いて書かれたものでしょう?中国との領土問題について、「戦争なんて起こりっこない」と思っている人々に対し「『戦争なんて起こるわけがない』と思っていても戦争は起こりうる。だから中国との戦争も起こりうる」と言い、恐怖を煽った上で、「だから中国に対する防衛力を持ち、戦争に備えなければならない」と主張しているのです。


「尖閣諸島を守るために防衛力を持とう」というリアリストが一番怖い - 斜め上から目線

このあたりについて。あの記事を批判する人の中に記事の設定が今回の尖閣問題と一致していないことを批判する人が多いですけど、あれって2009年に書かれた記事のリライトですよね?

↑2009年4月30日に書かれた元記事

↑2012年9月に話題になった問題の記事。

(記事末の投稿日時に2009年4月30日と書いてある。恐らくはてなダイアリーからエクスポートした記事をwordpressにインポートしたものを編集している。)
見比べて頂ければ分かるように、文体を変え、わかりにくかった部分を補ってはいるものの、記事構成にはほとんど変化はありません。

したがって、問題の記事が尖閣問題を念頭において書き下ろされたという認識は正しくないのではないか?と思うわけです。
(ブロガー側に、時事問題との関連性を考慮してリライト作業の優先度を上げた、等の色気があった可能性は否定しませんが)
どちらかというと一般論に近い形で書かれた記事なんですね。
ちなみに、元記事の2009年のはてなブックマークコメントを見ると、当時は北朝鮮問題あたりを想起した人が多かったようです。

nanahusi 不適切なブックマークを通報する 軍事, 戦争, 歴史
最近の北朝鮮のことを念頭に置いて読むとぞっとする。 2009/05/31

hisamatomoki 政治, 軍事, 歴史
まぁ、世の中には今の日本と北朝鮮の関係を、半世紀前のアメリカと日本の関係に見たくない人が、二重の意味でいますからね……当時の日本擁護したい人から、今の北朝鮮を擁護したい人まで^^; 2009/05/31

fromdusktildawn 不適切なブックマークを通報する
「北朝鮮が核ミサイルを東京に撃ち込むわけがない。」ってのも、「相手が合理的に行動する」という暗黙の前提に依存しているよね。 2009/06/03

参考

つまり、「リアリズムと防衛を学ぶ」は、2012年9月17日に移転を始め、移転先で過去記事のリライトもしていて、その第一号が問題の記事なわけですね。


2012-09-17 移転しました
PHPに親しみたいと思うなどしまして、ワードプレスにブログを移転しました。
こちらの過去記事は、いくつか選んでそのうち移転先で改稿して出したいと思っております。
なかなか更新はできないかもしれませんが、今後とも移転先でもよろしくお付き合いください。

移転先

http://riabou.net/


移転しました - 【移転済】リアリズムと防衛を学ぶ

数年前の記事なんだから、起稿後に起こった個別事例である尖閣問題とは齟齬があるのはまぁ当たり前かなぁと。
この辺の齟齬をどうにかするするために、尖閣問題に対応して修正しちゃうと、今度は一般論としての使い勝手が悪くなり記事の寿命が短くなってしまうわけなので、外部がそれを求めるのは過剰要求な気もします。
2009年当時、個別事例である北朝鮮問題に対応せず一般論として書かれた記事だからこそ、2012年の読者が「現在の時事問題について書かれた記事」のように感じてしまうほどの汎用性を維持しているわけですしね。