情報の海の漂流者

web上をさまよいつつ気になったことをつぶやいています。

民主党案だと年金保険料15%? 元々それ以上払っているのだよ


【政治】 民主党、マニフェストの「年金改革」は政権取った4年後に…職業に関係なく、全ての人が収入の15%を納付する形
民主党の財源がわかったよー\(^o^)/|2chコピペ保存道場

というのが騒ぎになっているが、皆さん現時点で収入のいくら位年金を払っていて、自己負担額はいくら位か把握しているのだろうか?

  • サラリーマンは現時点で既に15%以上払っている、近い将来18%まで増える予定だった。会社が半額出している
  • 民主案だと、年金保険料は15%で、会社が半額出してくれるのは変わらない
  • 自営業者は負担が増える



↑厚生年金を払っている人の場合、今でも15%以上の負担。*1
ただし、会社が半額払ってくれているから実際に払っているのは7〜8%位の場合が多い

厚生労働省のwebサイトを参照してみよう。
元々厚生年金加入者は15%以上負担していることが分かる。*2


 厚生年金の保険料は、毎月の給与(標準報酬月額)と賞与(標準賞与額)に共通の保険料率をかけて計算されます(総報酬制)。保険料率は平成17年9月から毎年9月に引き上げられ(下記の被保険者の区分に応じて引き上げ率は異なります)、平成29年9月からは固定されます。 


厚生年金保険料率(平成20年9月〜平成21年8月)
一般の被保険者 15.350%
船員・坑内員の被保険者 16.200%
日本たばこ産業株式会社の被保険者 15.550%
旅客鉄道会社等の被保険者 15.690%
農林漁業団体事業所等の被保険者 16.120%
(平成20年9月分)
社会保険庁:保険料と総報酬制

分かりやすい解説が無いかなと思ったら東京新聞に良い記事があった。


所得比例年金の保険料は所得の15%で、厚生年金とほぼ同率。半分を会社が負担するのも同じだ。厚生年金の保険料は将来的に18%余まで上がる予定だったため、厚生年金に入るサラリーマンは負担が減る


一方、自営業者らが加入する現在の国民年金の保険料は定額で月1万4660円。全額が自己負担だ。これが新制度になると、単純計算では月収50万円の自営業者の保険料は7万5000円に。給付も増えるが、高額所得の自営業者は保険料の負担は増す。
東京新聞:<点検>民主マニフェスト (2)年金制度移行 給付は徐々に 徴収は急変:09総選挙(TOKYO Web)


現時点でも、厚生年金に加入しているサラリーマンの負担額は約15%で、会社が半額負担している。
民主案になっても負担額は大差なく(むしろ数年後には負担額は減る)、会社が半額負担するのも変わらず。
今回の騒ぎは、会社負担額を含めた額が表面に出たことからくる数字のマジックだと考えられる。
この辺、医療費等と一緒で、普段は「自己負担額」しか把握していない要素について、改めて総負担額を提示されると、金額の大きさにパニック状態になる場合が多い。


また、民主党の政策集には


年金保険料を年金給付以外に使わないこととして、年金財政を安定させるとともに、年金に対する国民の信頼を確保します。
民主党政策集INDEX2009

とあり、年金保険料を流用して財源とするという説も大変疑わしい。


つまり、まぁここまで大騒ぎするような「大増税」*3ではないのだ。
負担増な層の人も多いが、現政権の案でも負担は増える。民主党案でも大差ないのだ。

補足 国民年金の原案での負担増についてメモ

ちょっと誤解があったので追記。
これ以降は一次ソースが出てこなかったので話半分にして欲しい。
誰か詳しい人が居たらこの部分の解説を引き継いでもらえると嬉しい。


国民年金は、2017年以降、物価水準に連動することになっている。
この時点で負担額がどうなるのかという点についてあちこちで試算がされていたが、大幅な負担増になるという結論を出しているところが多かった。


当時のログは今では殆ど消滅しているが、神戸市議の林英夫さんのサイトに賃金上昇率を2.1%とした場合の試算が残っていた


この辺り、2009年現在ではパラメータが変わっているはずなので、予想額は変化していると思うのだが、残念ながら資料が見つからなかった。


これを考慮した上で、現行制度のまま迎えた未来と、民主案で迎える未来を比較すればよいと思う。

追記 最低保障年金

最低保障年金について、これについても


所得税法等の一部を改正する法律(平成21年法律第13号)(抄)
消費課税については、その負担が確実に国民に還元されることを明らかにする観点から、消費税の全額が制度として確立された年金、医療及び介護の社会保障給付並びに少子化に対処するための施策に要する費用に充てられることが予算及び決算において明確化されることを前提に、消費税の税率を検討すること。その際、歳出面も合わせた視点に立って複数税率の検討等の総合的な取組を行うことにより低所得者への配慮について検討すること。
平成21年度税制改正 : 財務省

とあり、現在のままでも消費税を社会保障財源化する方向になっている。
民主は新制度だからこれが視覚化されているが、自民もこれ(消費税の年金財源化)に付いては同じような立場なのだ。
この辺りも、どっちもどっち。
反対する人は、共産党を選択する事を考慮した方がいい。

ブクマレス


id:p_wiz 経済, 選挙, 政治, 民主党, 社会保障, 年金 ちなみに現在の被保険者は厚生年金3379万人、国民年金7038万人。この「七千万人ぐらい+いままで払ってないアルバイターとかの人」が増税(税金じゃないけど)になるわけですね


国民年金と厚生年金が別々なのではなく



国民年金を払っている人の中に、厚生年金払っている人が居る。


国民年金は20〜60歳の人は原則全員加入なのですよ、
7038万人という数字にはサラリーマン(厚生年金加入者)や、既に年金を貰う側に回っている人が含まれていると思われます。
この場合は、20歳以上60歳未満人口と一号被保険者の数を比較した方が良いかと思います。

ちなみに平成20年度末の時点で一号被保険者は2001万人となっています。
http://www.sia.go.jp/infom/tokei/nouhu2009/noufu2009.pdf

*1:この図は分かりやすくするため、15%近くを拡大している。負担が誇大に見えるので注意

*2:実際には事業者が半額負担する

*3:年金と税金は違うけど