情報の海の漂流者

web上をさまよいつつ気になったことをつぶやいています。

デマの作り方

先日、民主党案だと年金保険料15%? 元々それ以上払っているのだよ - 情報の海の漂流者というエントリーを書きながら、最近情報操作が多いなぁと感じた。


選挙直前のデマの場合、誰かが突っ込みを入れようとしても間に合わない。
問題点を調べている間に投票日を迎えてしまう。
この時期の情報は注意が必要だ。
そこで、「自民党はマスコミを通じて情報操作をしている」という怪情報を例にして、疑わしい情報の作り方、見分け方をメモしてみる。

まず、事実を提示する。

人に信用させる為に、まず事実を書く。
「自民党とマスコミ」的なデマの場合、広告関係の資料を集めると良いだろう。
自民のweb広告の規模について - 情報の海の漂流者
自民党がadsense広告を開始した事を確認。 - 情報の海の漂流者
幸い自民党の広告掲載関係は定期観測しているので、ここからコピペする事にしよう。
朝日新聞とか、読売新聞とか、毎日新聞みたいな大手新聞社の場合ネームバリューがあるので効果が高いだろう。


素材

  1. 2009年08月前半から、自民党が一斉に広告を出し始めたという事実
  2. 自民党の広告を表示しているマスコミの一覧

自説に都合がいいように加工した統計資料を持ち出す。

↑このグラフだけを見ると、自民党がマスコミのスポンサーになった時期と、検索数が増えた時期が一致しているように見える
しかしこれは、罠である。

対立陣営の情報を出していない

同時期のキーワード「民主党」との比較。



マスコミに広告を出していないはずの民主党も、この時期検索数が増えている。
マスコミ広告と、キーワード自民党の急上昇との間に関係があるのかは非常に怪しいことが分かる。

前回のデータを含んでいない

過去の選挙期間のデータを含んだグラフを見てみよう


google トレンド 自民党の検索結果2004〜2009

A 自民党、選挙公約づくりスタート
RKB毎日放送 - Aug 9 2005
B 総裁任期、本人の判断で 自民党の山崎前副総裁
徳島新聞 - Sep 11 2005
C 自民党総裁選、14日告示・19日投開票の方向で調整=自民党筋
世界日報 (会員登録) - Sep 12 2007
D 古賀、谷垣氏が3役入り 福田総裁が自民党人事
山陰中央新報 - Sep 24 2007
E 日本自民党、総裁選の日程を決定
中国国際放送 - Sep 2 2008
F 自民党総裁、麻生氏が新総裁に
TBS News - Sep 22 2008

↑実は毎回、選挙の度に政党名での検索数が増えていることがわかる


都合がいい情報だけを切り取ったグラフなんて、簡単に作れるのだ。
グラフを妄信してはならない。

誤読させる


例:衆議院選挙の候補者がこの時期にウェブページを更新することは公職選挙法で禁止されている。しかし自民党はHPを更新している。だがこの事を報道するマスコミはない

↑嘘は言っていないが、多くの人が誤解する文章。注意が必要。

主語の書き換え

候補者がblogやウェブサイトを更新するのは違法でも、政党がウェブサイトを更新することは問題がない。
確かに嘘は言っていないのだが、誤読する人が非常に多い文章。
そして、対立陣営のイメージを確実に悪化させている。


このエントリーを書く前に念のために、衆議院選挙候補者のwebサイトを200件位確認したが、選挙期間中に更新を行っているサイトは確認できなかった。

「この事を報道するマスコミはない」

そもそも、レトリックを使ったでっち上げでなので、報道するマスコミなどあるわけがない点。
また、公職選挙法違反の場合、投票後に逮捕される例が多い点。
その時には大抵報道される点。
その手のトリックは、初見では気が付かないことが多い。

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最後にうわさを書く

2ch等の匿名掲示板からのコピペが良いだろう。
google検索、2ch内、キーワード 自民+マスコミ辺りで検索すると、都合がいいうわさがいくらでも転がっている。


これに対抗する為には、googleにインデックスされた日を検索するGoogle Daterange Checker - インデックス日を調べるが便利だ。
コピペの初出等を探すときには役に立つ。
精度は高くないが……

まとめ

  • 対立陣営の情報が書かれていないバッシングは疑う
  • 範囲の極端に短いグラフは疑う
  • レトリックに注意しよう
  • 言っていることより言われていない事に注意しよう
  • 政党や政治家には選挙後にやる事を全て書く義務がない。公式ページで誰も得しないような政策を見たら誤読を疑う