情報の海の漂流者

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アニメ「さくら荘のペットな彼女」6話のサムゲタンは極めて優れた演出だと思っている

TVアニメ、さくら荘のペットな彼女の第6話「雨上がりの青」のサムゲタンのシーンについては賛否両論あるようだが、僕は演出として極めて優れていると感じた。

第六話サムゲタン関連部分のあらすじ

ヒロインの一人、青山七海は声優志望の高校二年生の勤労学生。両親に夢を反対され経済的に支援が得られないため、アルバイトをしながら養成所に通っている。
今回、無理をしすぎて大事な発表会の当日に体調を崩して倒れてしまう。
さくら草の住人たちは七海を発表会に行かせるべきか休ませるべきか話しあうが、椎名ましろの「私ならばいきたいと思う。行かせてあげてください」という一言でいかせる方向に。
七海、ましろ、神田空太(主人公)の三人はタクシーで発表会場へ。
七海の発表会は体調不良のため最悪の結果に終わる。
夕方三人はさくら草に、七海について軽い会話。
夜間、コンビニへ買い物に行く影。
翌朝みんなが目覚めると、先輩(三鷹仁)が病人食としてサムゲタンを用意していた。

ポイントになるのは

ポイントになるのはサムゲタンというのが非常に手間と時間がかかる料理だということだろう。あれはまともに作ると煮込み時間だけで数時間かかる。
これがおかゆだったら(本格的な中華粥でもない限り)朝いつもよりちょっと早く起きて準備すれば間にあうのだが、サムゲタンならそうはいかない。
朝食にサムゲタンを出すためには、(ちゃんと作るならば)徹夜かそれに近い形で準備をする必要がある。
病人食を原作のおかゆからサムゲタンに差し替えることで調理に必要な手間が増加し、それによって仁の七海に対する心遣いの深さが分かりやすく表現されている。
かけた手間の量により心遣いを示すというのはわりとよくみられる表現で、たとえばラブコメ等でよくある、「朝五時に起きて作った弁当」等もこれと同じタイプのものだろう。
尺(時間)の制限が厳しいTVアニメという媒体の性質を考えると、心理描写に割ける時間は非常に限られている。
その制限の中で考えていくと、病人食を手間がかかる料理に差し替えるというのは、非常に時間効率がよく、作品のクオリティを維持する上で非常に効果的なように思える。
(追記 なお、作劇上の都合として、ここで周囲にかける迷惑が大きければ大きいほど後に生きてくるという側面があるので、その意味でも手間を取らせる料理への差し替えは都合がいい)

ちなみにサムゲタンというのは

ネット上で一部の人がサムゲタンを非常に特殊な料理のように言っているが、この料理は日本において急速に普及し始めている最中だと考えられる。
例えば、Google トレンド  で、キーワード「サムゲタン」の検索回数の推移を見てみると、平均して「キムチ鍋」の6割程度、最近ではもっと多いくらいの検索数がある。

キムチ鍋が冬場の人気鍋ランキング上位常連となっている状況を考えると、その6割の検索数があるならばサムゲタンもかなり普及している可能性が高い。
ちなみに、映画「魔女の宅急便」においてオソノさんが病気のキキにつくってくれたミルク粥の20倍位検索されている。


また、クックパッドでサムゲタンと検索すると300件近い数のレシピがヒットする状態であり、お店で食べるのみではなく、自宅で作る人もそれなりに多くなってきていると考えられる。

これらの状況を見るに2012年の日本においてサムゲタンというのはそこまで特殊な料理ではない可能性が高いと考えられる。