情報の海の漂流者

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読書メモ『働く人の災害食』

阪神・淡路大震災でライフラインが途絶した中復旧作業に従事した人が、何を食べたのか、その食料はどうやって調達され、どのように輸送されたのかを資料を元にまとめた本。

目次

阪神淡路大震災で働いた人たちはなにを食べたか
  1. あの時電気復旧工事の人たちはなにを食べたか
  2. あの時水道復旧工事の人たちはなにを食べたか
  3. あの時消防署員はなにを食べたか
  4. 被災直後の芦屋市と西宮市の消防署員の食事比較から見えてきたもの
  5. 新潟県中越地震発生直後の消防署員の食事
  6. 阪神・淡路大震災での病院看護師の飲食仕事の実態
災害にどうそなえるか
  1. 電力会社(東京電力)の備蓄状況
  2. ガス会社(東京ガス)の備蓄状況
  3. 水道局(東京都)の備蓄状況
  4. 警察(警視庁)の備蓄状況
  5. 消防署員の備蓄状況-被災地、近畿地方、警戒地方
  6. 消防署員が望むレスキューフーズ、白いご飯とおかずセットをテストする
  7. 消防署員に喜ばれる災害備蓄食品
  8. 病院看護師のための備蓄
  9. 企業の備蓄-東京23区の場合
過去の震災からの「学び」を生かす
  1. 過去の災害食からの「学び」を生かす
総括

読書メモ

阪神淡路大震災時の輸送では海上輸送がかなり利用されていた。
津波で港湾設備が破壊された東日本大震災とは随分状況が違うなと感じた。

食事にたいする要望の変化(関西電力)
発生翌日1月18日 おにぎりサンドイッチを希望した 昼夜を問わず非常に慌しい作業が連続したので食べやすいものが望まれた
1月20日〜 要望はだんだん多様化し、多くの種類をそろえて欲しいという要望 夜食にインスタントラーメンやレトルト食品。これは単調な食事の改善に役立った。
発生1週間後 コーヒーなど、果物、菓子など 現場では作業要員の疲労がその極みに達していたからである。

上はp28掲載の図をから食事内容の項目を抜いた物
時間の経過と共に要望が多様化しニーズが変化していくのが分かる。


この手の表やグラフ、供給された飲食料の具体的な量がまとめられている。
従事者の精神的状況についてのアンケート等も豊富。


消防署員が望むレスキューフーズ、白いご飯とおかずセットをテストするの項目では
災害想定食12種類の形態やカロリー、写真なども掲載されている。
自治体がどの程度備蓄しており、個人や一般企業はなにをどの程度ストックしておくべきか的な項目もある。

物質的側面だけではなく精神的な側面も

飲食料の補給だけではなく、被災者や作業員の災害ストレスについても言及されている。


この手の情報を求める人は一読の価値がある本である。