情報の海の漂流者

web上をさまよいつつ気になったことをつぶやいています。

何をお金で買えるのか?

うーん。これは例題があまり良くないんじゃないだろうか。

オーヘンリーの短編で「お金で時間は買えない」と嘆く甥っ子のために大金持ちのおじさんが大交通渋滞を起こして甥っ子が好きな人に告白するチャンスを作った

最初に大金持ちのエピソードが回答者の頭に刷り込まれてしまったため。「お金では買えないもの」ではなく「お金だけでは買えないもの」を答えてしまう人が出てきたという印象を受ける。

以下コメント欄に書こうか迷って結局書かなかったもの

お金で買えるもの

お金で何が買え、何を買えないかということを考える時には「お金だけでは買えない」だけではなく「お金が一円もなくなると失われるものはなにか」ということも考えると、分かりやすい。

自尊心

例えば、服を買う金がなくなり、ボロボロになった服を何年も着続ける。
ついには服がなくなって裸で街中を歩くことになったとする。
繁華街や満員電車の中を裸で歩くことになったとき一体どれくらいの人自尊心を保てるだろうか?
こういうことを考えていくと、現代の日本人は服を買う時にはプライドも一緒に買っていると考えることができる。

以前

というエントリーでも取り上げたが憲法で保証される「健康で文化的な最低限度の生活」を考えていくと「人前に出て恥をかかないでいられるか」という項目が入ってくる。

3.最低生活の保障

 「健康で文化的な最低限度の生活」を保障するためには、どれだけの収入が必要かが問題となるが、ただ単に収入の水準だけが問題となるのではない。その収入によって「どういったことができるのか」「どういった状態になりうるのか」といった「生活の質」が問題となる。その最低限保障されるべき「生活の質」として以下のことを考えた。

 第1に、「適切な栄養をえているか」「雨露をしのぐことができるか」「避けられる病気にかかっていないか」「健康状態にあるか」といった基本的な健康・生命を維持するための「生活の質」(1998年ノーベル経済学賞受賞者であるアマルティア・センの言う生活の「機能」、アマルティア・セン著、池本幸生・野上裕生・佐藤仁訳『不平等の再検討』岩波書店、1999年参照)を確保すること。

 第2に、「読み書きができるか」「移動することができるか」「人前に出て恥をかかないでいられるか」「自尊心を保つことができるか」「社会生活に参加しているか」といった社会・文化的な「生活の質」(アマルティア・センの言う生活の「機能」、前掲書参照)を確保すること。
首都圏・若年単身労働者世帯の最低生計費試算中間報告

生活保護なんていうのはこういうものを保証するための制度であるとも言える。
つまり、自尊心を維持するには最低限のお金が必要であり、自尊心はお金で買えるわけだ。

健康

少し前に『ルポ 貧困大国アメリカ (amazon)』という本が話題になった。
この中に貧困層の肥満という話が出てくる。
お金も時間もない貧困層はファーストフードのような物に依存せざるをえなくなり、どんどん肥っていく。
お金持ちは質が良い食べ物を買えるしジムで汗を流すことも出来るためスマートな体型を維持する。
お金のあるなしで健康でいられるかどうかが決まるというのは割とあり得る話なのだ。
現代社会においては健康はお金で買える。

知力学力

少なくても現代日本おいては経済力と学力の相関関係があることが文部科学省の調査からわかっている。

学力はお金、もしくはお金が十分ある生活を送っていたかどうかで左右されるという側面がある。
お金で買えてしまう。
資格試験の類も同様。それを獲得するための学習時間を確保できるか否かには経済力が関わってくる。

運動能力・体力等

独力で練習するのと、世界最高峰のコーチの指導のもとで訓練をするのでは効率に大きな差が出ることを考えると買える。

空腹感

副作用で食欲が増したりお腹が減る薬がいくつかあってこれはお金で買える。

お金で何でも買えるという人の考えを変えること

その人が一番信頼している人を買収して説得に当たらせるという案が思い浮かんだ。