大学生数学基本調査の平均の問題において、大学生の24%が誤答したという前回の記事の続き
とりあえず言っておきたいのですが、正解率とその知識を理解している人の割合は別の概念です。
ある問題に正解した人の中は
- A:想定する知識を持っている & 正解
- B:「想定する知識を知識を持っていない & 正解」
の二種類に分けられます。また、不正解になった人は
- C: 想定する知識を持っていた & 不正解
- D: 想定する知識を持っていない & 不正解
に分けられます。
正解=A+B
不正解=C+D
理解=A+C
不理解=B+D
ということです。
さて
平均の問題を間違えた人が24%(不正解)であることを根拠に「平均の概念を理解していない大学生は24%だ(不理解)」という結論を導き出すのは正しいでしょうか?
上記ロジックはまぐれで正解した人の割合と、引っ掛け問題にやられた人の割合が一致した場合に、成り立ちうるのですが、それは非常に難しい。
今回の話題になっている平均の問題は○×問題なので、まぐれで正解する人が一定数でるのは防ぎようがありません。
非常に優れた問題を作って、まぐれで正解する可能性やミスリードで間違えてしまう可能性をゼロに近づけるというアプローチはできないんですね。
そうすると、「まぐれ当たりを引っ掛け問題で相殺する」という無茶をする以外に不正解=不理解にする方法は事実上ないわけですね。
でも、そんなの普通は無理ですよね?
となると、今回の調査を元に「平均の概念を理解していない大学生は24%だ」というのはちょっとおかしいですよね。
この事件の報道で一部メディアがバッシングされている理由の一つに、不正解率と不理解率の混同、というものがあるわけです。
B:知識がないけど正解してしまう例
幼稚園生にフェルマーの定理を見せ、これ常に成り立ちますか? YES or NO と聞く
二択なので半数の人が正解する可能性がありますが、これは幼稚園生の半数がフェルマーの定理を理解していると言えるのか?というとわかりやすいと思います。