情報の海の漂流者

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性資源と家庭の話

tikani_nemuru_M@disca 同じですよ。生殖は性資源の主要要素です。特定の個人に性資源と家事労働を提供するのが専業主婦です。無論、何の問題もありません。不特定多数に性資源を提供するのがセックスワーカーです。これも原理的には問題ありません。link


これが原因で議論が起きているようだけど、反応した人の中に資源という言葉の意味を誤解している方がいるな、という印象をうけました。

まず、資源という言葉について。
この言葉、放送大学出版から出ている『資源人類学07』によると大正時代までは富源と訳していたそうです。
お金とか富の源とかそういう意味合いが強い字面です。
例としては「石油」のようなものがイメージしやすいと思います。
加工したり売っぱらったりしてお金持ちになれるわけですね。


でも資源って英語で言うと「リソース」なんです。
お金だけではなく、時間とか、手間とかそういうものも含みます。
人的資源という奴です。
先ほど上げた『資源人類学』に資源の例が上がっています。

資源の例
  • 天然資源
  • 石油資源
  • エネルギー資源
  • 人的資源
  • 経営資源
  • 観光資源
  • 生物資源
  • 森林資源


しかし、元の言葉が悪かったのか、富源から資源に訳語が変わった今でも、一般には「お金に直結する物」というようなイメージが強いようです。
性資源と言われると、相手を性欲を解消する道具とみなしていると考えちゃうんです。


(ちなみに僕はそういうイメージからくる誤解を避けるため、人的資源を含む場合には「資源」ではなくリソースと表記することでトラブルを避けています)

確かにそういう意味合いもありますが、家庭における性資源といった場合「再生産活動を行う人的資源」を指す場合が多いのです。

家庭におけるしごととは

家庭におけるしごとは大きく二つに分けることができます。
家庭を維持するしごと、子供を産み育てるしごとです。
(金銭を得るしごとと、無償で行う維持費みたいな分け方もありますが話が難しくなるのでまた別の機会で)


家庭を維持するしごとというのは、家事をしたり、お金を稼いできたりすることです。
どこの家庭でもあるしごとですね。
これはぶっちゃけ、男でも女でも出来ます。


子どもを産もうという場合、これに育児関係のしごとが加わります。
これは基本的には、最初に男と女のペアが必要です。
人間は単性生殖ではないからです。
この時のパートナーの事を性資源(性的リソース)と呼ぶ場合があります。
地下猫氏の発言は「生殖は性資源の主要要素です」と言っており、この文脈に従っていると判断できます。
「性行為は性資源の主要要素です」と言っているわけではないのですね。
この辺注意が必要です。

それを踏まえた上で

生殖に関する仕事は基本的に女性が担当していましたが、技術の進歩により男性が担当することも可能になってきました。

  • 例:人工ミルクが普及したことで母乳が出ない男性でも赤ん坊に栄養を与えることが可能になったこと等


それでも今のところ、出産に関しては男性が変わることはできません。
ファイヤストーンという人が『性の弁証法』という本で将来的には人工子宮が発達し女性が出産から開放される時代が来るだろうという予測を出していますが、今のところはまだ出産は女性の仕事なわけです。

家庭のしごとの中で女性にしか出来ないしごとがある。そうすると、それ以外のしごとのうちパートナーがやるべき(とされる)しごとがでてくるわけです。
妊娠中の女性は食べ物を取ってきたりすることはいつもより大変になるので、妊婦の分も食べ物を取ってきたりするわけです。
家庭のしごと全体としてメンバーの引き受ける負担のバランスをとっているわけですね。

これを性資源の提供とみなせるわけです。


これが資本主義というものが発達していくと、男性はお金を稼ぎに外へ(サラリーマン)、男性が家にいないから女性は育児+家事労働(専業主婦)みたいな形に発展していきます。
(史料をいくつか見た限りでは、子供と妻を養えるほどお金を稼げる男性は元々少数派で、庶民は大抵共働きをしていたようですが、その辺は話がそれるのでまた今度)
そういう文脈からみると、地下猫氏の発言は女性をモノとしてみているとか、そういう話ではないと考えられます。
子供を育てることを前提としている家庭の場合、夫婦で役割分担を見たいなニュアンスだと思います。
(もちろん子どもを作ることを前提としない家庭もあるので、すべての家庭に当てはまる話ではありません)

気力あるひとだけ

性と家庭のエントリーの経緯