情報の海の漂流者

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首都圏痴漢取り締まり結果の分析

警察庁のウェブサイトで首都圏における痴漢事犯対策強化期間の実施結果についてというPDFが公開された。
2010年4月15日〜21日に首都圏で実施された痴漢行為の集中取り締まりのレポートである。
今回はこれを、グラフ化してみた。
有効件数が2桁のデータなので誤差は大きいだろうが、傾向をつかむ程度には役に立つだろう。

取られた対策


痴漢多発路線を中心に、捜査員約120人で組織する「特別チーム」を投入した。

  1. 主要駅を中心に、延べ269回、痴漢被害防止キャンペーンを展開
  2. 大学、高校、事業所等において、延べ116回、痴漢被害防止教室を開催
  3. 325の駅において制服警察官による警戒活動を実施


この規模の捜査だと首都圏の電車網を完全にカヴァーしていたとは言いかねる。
これはまだ暗数(発覚してない被害)があると思われる。
痴漢行為の実数はこの数値より多い可能性が高い。
また、被疑者の数をベースにしているのでいわゆる痴漢冤罪が含まれている可能性も否定はできない。
様々な可能性を考慮しながら見るべきデータであろう。


なお、今回の取り締まりの検挙人数は78人で


集中取り締まりは昨年秋からで今回が3回目。逮捕・書類送検した人数は今年1月の2回目の39人の2倍近い。

asahi.com(朝日新聞社):首都圏の痴漢78件摘発 対策強化の1週間で - 社会


とのこと。

路線別

  • 6件 京王線 Jr中央線
  • 5件 Jr埼京線
  • 4件 西武新宿線 Jr総武線 千代田線 Jr山手線
  • 3件 Jr横浜線
  • 2件以下 その他21路線

検挙状況別

検挙状況 検挙件数 検挙人数
電車内での強制わいせつ 3 3
電車内での痴漢 59 58
電車内での盗撮 4 4
電車内での公然わいせつ 1 1
駅施設内での盗撮等 11 11

時間帯別

時間帯別 4〜6時 7〜9時 10〜12時 13〜15時 16〜18時 19〜21時 22〜0時
件数 2 42 1 2 10 14 7

朝の通勤ラッシュの時間に被害が集中している。
利用人数が多いためなのか、それとも満員電車という状況が痴漢を発生しやすくしているのか。

被害者年齢別

14歳以下 15~19 20~24 25~29 30代 40歳以上
1 40 16 9 8 0

被害者職業別

中学生 高校生 大学生 専門学校生 会社員 その他 無職
1 26 14 4 17 4 8

女子高生に被害が集中している。
(満員)電車の利用人数的に考えても有意に多いように思われる。
理由は色々あるのだろう。

加害者年齢別

10歳代 20歳代 30歳代 40歳代 50歳代 60歳代以上
5 16 24 21 9 2

加害者職業別

会社員 自営業 その他 学生 無職
48 1 10 7 11

被疑者の人数は会社員が最多になっている。
しかしこれは会社員が危ないということなのか、サラリーマンの(満員)電車の利用人数が多い為なのかは不明だ。

参考データ 通学定期・通勤定期の利用者数との比較


これは平成12年の首都圏の定期券利用者数と今回の資料を比較したもの。
定期券の利用者は国土交通白書 より三大都市圏の通勤・通学定期券利用者数の推移 を参照した。
問題点は、少し古いことと、定期券利用者≠電車利用者全体 ということなど。
厳密な検証には不十分だが、大雑把な類推には役に立つのではないだろうか。

- 通学定期 通勤定期
定期券利用者 2044 6881

(単位は千人)

防犯カメラの抑止力?


昨年末から防犯カメラを一部車両に設置しているJR埼京線でも5人が摘発されたが、いずれもカメラのない車両内だった。

 警視庁によると、埼京線は昨年、東京都内の全路線のなかで最多の173件(月平均14・4件)の痴漢被害の届け出があった。そこでJR東日本が昨年末以降、埼京線の列車2本の車両1両ずつに計6台のカメラを設置したところ、月平均の被害がほぼ半減したという。

 JR東は6月から、同線を走る列車30本すべてにカメラを順次設置する方針

痴漢1週間で77人摘発…JR東に感謝状も : 社会 : YOMIURI ONLINE(読売新聞)

再犯

この痴漢行為集中取り締まりについての毎日新聞の記事を参照


警察庁は6日、4月15〜21日に首都圏で実施した痴漢集中取り締まりの結果を公表した。都や県の迷惑防止条例違反、強制わいせつなどの容疑で逮捕・書類送検されたのは77人。うち29人(37.7%)は過去にも痴漢行為で検挙されており、警察庁は「痴漢は繰り返す傾向が強い」として警戒を強めている。

痴漢:検挙77人 再犯37% 首都圏集中取り締まり - 毎日jp(毎日新聞)