情報の海の漂流者

web上をさまよいつつ気になったことをつぶやいています。

下市町の車いすの少女入学拒否問題と町の負担額についてのメモ


  • この記事は僕の推論を多く含んでいますので、情報価値は非常に低いものとなっています。
  • 参考程度にしてください。


id:seijigakutoとのはてなはいくでのやり取りについて補足。



上記記事に学校の状況と町の財政・インフラ事情が出ていますが、 24時間看護が必要な生徒を普通のクラスで授業受けるための費用を町が出した場合は、年間3000万円とかになります。この子の場合も、小学校の時は年間2000万円くらい町が負担していて、それが町の教育予算の7%程度を占めていたという未確認情報もあります(未確認なので間違っている可能性もあります)。


id:seijigakuto - seijigakuto - はてなハイク

注)誤字は僕が修正した

人件費年間2000万円のソース

以下の匿名掲示板のコピペがソースのようです*1



介助員1人あたりの年収600万円、特別担任はベテランで800万円。
この子の為に下市町は年間2000万円の余計な出費が強いられていた。


下市町は人口7000人の小さな町。年間全予算が40億円。そのうちの教育費は3億円。
小学校の6年間、たった一人の為に毎年2000万円の出費。


下市町の教育費全体の7%前後をこの子1人の為に使い続けた。


累計では1億2000万円。もちろんこの予算は
親が養護学校に入れていれば発生しなかったものです。
この予算を他の子供達の為に使えれば、もっと充実した教材の手配、
学校の設備の補修、様々なイベント、などに活用できたわけです。


この子たった1人の為に、他の子供達全員が
充実した教育を受ける機会を奪う権利はあったのでしょうか?


小学校6年間で使った1億2000万円ではまだ足りずに
今度は数億円掛けて中学校をバリアフリー化して!と
町を相手に訴訟を起こしてる真っ最中なわけですが…。




このコピペの問題点

  1. 人件費に関するパラメータを全て最大で計算している
  2. 市区町村立小学校の人件費を町が全額負担しているという認識は正しいのか
  3. この人件費は他の用途に転用できうるものなのか*2

人件費に関するパラメータを全て最大で計算している

この2000万円というのは、全ての関係者を正規雇用+熟練者でそろえた場合の推定のようです。

特別担任


特別担任はベテランで800万円。

  1. 教員は年功序列制であり、ベテランの方と新任の方では給料に差があります。
  2. 特別支援学級の担任は、正規雇用の方以外が担当する場合も多いようです。
    1. その場合正規雇用に比べて、人件費が下がります。
    2. 都道府県費負担教職員 - Wikipediaというものもあり、この人件費は全額町負担であるのか否か疑問があります。


800万円という額はその辺をパラメータを全て最大値で取った上で、それが全額町負担という前提の計算しているようですので、これをストレートに適用するのは問題があると思われます。


介助や特別支援とは関係ない例になりますが、小中学校の人件費については東京都千代田区のページにあるpdfが参考になるかもしれません。


http://www.city.chiyoda.tokyo.jp/service/pdf/d0000949_1.pdf
p27
区立中学校の経費
?教員の人件費 ⇒国と都が1/2 ずつ
?学校運営費(教員以外の職員人件費含む)⇒区


介助員


介助員1人あたりの年収600万円

これもやはり、正規雇用でない場合が多く、その場合人件費は少なくなります。


東京都中野区 介助員アルバイト募集条件
http://kyouiku.city.tokyo-nakano.lg.jp/toiawase/arubaito.html
資格・経験は不問
特別支援学級及び通常の学級における障害のある幼児・児童・生徒の階段などの歩行や食事の介助など
時給870円
交通費支給(限度額あり) 平日(週1日から5日)午前8時から午後5時15分の間で7時間45分または6時間


大阪府堺市 介助員アルバイト募集条件
http://www.city.sakai.lg.jp/kyoiku/_gakusi/arubaitobosyu_21.html
教員免許、保育士資格、介護福祉士等の教育や障害児者の介助に関する資格を有するもの
市立小・中学校支援学級に在籍する障害のある児童生徒の介助業務
介助員で実働5時間45分の勤務日の場合 日額6,200円
交通費実費支給(日額上限1,700円

有資格者であっても、時給千円程度のアルバイトである場合が多く、この場合年収が600万円というのは考えにくいんですね。
アルバイトであった場合の概算ををしてみると以下の通り

  1. 小学校の年間登校日は大体200日前後
  2. 一日8時間と仮定
  3. 時給千円*3
  4. 交通費千円支給と仮定

一日9000円(時給プラス交通費)*200日=介助員一人当たり180万円
これに保険やらなにやら付けても200万円*4


アルバイトであったのか、それとも正規雇用であったのか、情報がないので判断はできないですが、この辺りは考慮しておいた方がいいと思います。


以上により僕は年間2000万円という額は人件費関係のあらゆるパラメータを最大値で計算しているものであり、これを元に論を進めるのはちょっと危険であると考えています。


ちなみに4月から少女宅に指導に来ていたという明日香養護学校の鳴神さんについては、各ニュースの表記が『鳴神講師』となっていますので、臨時職員である可能性が高いと思われます



講師は、教諭又は助教諭に準ずる職務に従事する学校職員のことである。 常時勤務に服する講師(常勤講師)と常時勤務に服さない講師(非常勤講師)に分けられ、講師は一般的に臨時教員であり、公立学校の講師なら1年を超えない期間の契約で勤務する(国家公務員法第60条、地方公務員法第22条第2項の規定による)


講師 (教育) - Wikipedia

*1:初出は判明せず。一次資料が明記されていないの信頼性が高くないように思われる。出典が分かる人がいたら教えていただけると助かります

*2:実は少女がいるときだけ県や国から予算が下りていて、転用不可能な予算である可能性があるのではないだろうか

*3:奈良県で東京都よりも高いことは考えられないが

*4:時給が700円程度の場合さらに下がるし、逆に人材派遣会社を通せばお値段が跳ね上がりますがそれでも600万円には到達しない