情報の海の漂流者

web上をさまよいつつ気になったことをつぶやいています。

原発なしでも電力は足りているっていつの情報なんでしょうか?

今回の原発事故の関係で「原発をただちに廃止しても電力が足りなくなることはない」という方がいて、根拠を求めたら以下の動画を紹介されました。

京大原子炉実験室、小出裕章氏の講演とのこと。

火力発電所の稼働率が低いからこれを上げることで原子力なしでも電力需要を賄う能力があるとか

夏のピークタイムでさえも、火力・水力・自家発電等の合計発電力で足りるよ、みたいなことをデータ付きで説明しているようですが、この講演いつ行われたものなんですかね?
原発の話をしているのに福島のふの時も出なければ、震災で火力発電所が被害を受けていて発電量が低下している話がぜんぜん出てこないわけですが、これ東日本大震災前の講演だったりしませんか?


東京電力は4月上旬以降、定期検査中の横浜火力発電所7号系列2軸(35万キロワット)と、地震の影響などで停止している鹿島火力発電所(440万キロワット)の各プラントを順次立ち上げる計画だ。藤本孝副社長らが28日の会見で明らかにした。停止中の自家用発電設備を所有する顧客に対し、再起動を要請する考えも示した。3月14日に開始した計画停電は4月末まで継続する予定だが、できるだけ実施しなくて済むように供給力の積み上げに全力を挙げる。

現在、鹿島火力と同じく太平洋に面した常陸那珂火力発電所1号機(100万キロワット)、広野火力発電所(380万キロワット)も全停止している。

これらの復旧見通しについて、藤本副社長は、「常陸那珂の方が早いと思う。広野は津波で最もひどい被害を受けており、調査している段階だ。できれば夏前に立ち上げたいが、なかなかめどが立たない」と説明した。

一方、4月に定期検査入りする火力プラントもある。全体の供給力のバランスをみながら適宜実施し、需要が高まる夏にはフル稼働できるように準備する。

東電は夏の最大電力を5500万キロワット程度(7月末・発電端1日最大)と見込んでいる。被災した鹿島火力、常陸那珂火力のほか、長期計画停止中、定検中のプラントを立ち上げるとともに、ガスタービンを新設するなどの対策によって、5千万キロワット程度の供給力確保を目指す。


東電、火力順次立ち上げ 供給力増強に全力 - 主要ニュース - ニュース - 電気新聞

Google Earthによると、この広野火力発電所から福島第一原子力発電所までの距離は25.9kmだそうです。
つまり30km圏内です。


広野火力発電所の被害については、Google Earth で確認出来ましたの以下の画像を参照してください



震災後、2011年3月18日撮影とのこと

2006年の画像と2011年の画像を比較してみましょう、周辺の分かりやすい部分を拡大してみます。

2006年

震災後

こんな感じの被害状況らしく、"夏前に立ち上げたいが、なかなかめどが立たない"状態な訳ですね。
もしこの講演が震災以前のものであり、火力発電所の能力が従来より低下していることが織り込まれていないならば、今年の夏の試算としては使えなくなります。、何時の話なのかが知りたいところです。

西日本の電力事情について

関西電力HPによると


日本の発電電力量比率は2008年度時点で
原子力発電 ・・・・ 26.0%
石油 ・・・・ 10.3%
石炭 ・・・・ 25.2%
LNG ・・・・ 28.3%
水力発電 ・・・・  7.8%
その他 ・・・・  2.4%

* その他は、その他ガス、LPG、地熱、歴青質混合物など。

        出典:2008年度実績(資源エネルギー庁「電源開発の概要」)

となっております。


原子力情報センター KNIC -原子力発電の占める割合- [関西電力]

2008年時点で日本の発電電力量比における原子力発電の割合は26.0%なのですが、西日本のいくつかの電力会社の原子力依存率は平均を大きく上回っております。
関西電力なんかは原子力が48%とほぼ半分、九州電力も相当原子力に依存しているはずです。

企業が生産能力を西に移しているなか、原発を「ただちに」停止して、本当に電力が足りるのですかね?
その辺さっぱりわからなくて、詳しい方に解説をお願いしたいところなのですが。
「足りるか足りないかじゃなくて足らすんだ!」みたいな努力目標の話ではなく数字がほしい所。