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「「保育園を増やせ」はなぜ間違いか?〜政治がなすべき『保育産業革命』〜」(講師:フローレンス代表理事、駒崎弘樹氏)の文字おこし その1

東京ライフの勉強会「保育園を増やせ」はなぜ間違いか? 〜政治がなすべき『保育産業革命』〜の文字おこしその1

  • 内容が聞き取れなかった部分は(不明)、録画に音飛びが発生していた部分は(音飛び)としています。
  • 一部固有名詞の表記が不明であったため、便宜上適当な漢字を当てました。


駒崎弘樹「それではですね、今から一時間程いただきまして、この保育園を増やせは何故間違いかというタイトルでプレゼンテーションをさせて頂きたいと思います。


今日はですね、けんぽうさんに呼んでいただきまして、議員向け勉強会ということでですね、お時間を頂いたんですけれども、実際どんな方がいらっしゃるかを一番最初に把握してですね、お話させていただきたいなと思うので(音声飛び)
政治に携わっていますよ、議員ですよという方いらっしゃいますか?結構多いですね。はい、ありがとうございます。
保育関係者ですよ、という方はいらっしゃいますか?お一人ですね。
そのほか、ビジネス(音声飛び)わかりました。なるほど、わかりました。割合としてはビジネスセクターの方が多いということを理解いたしましたので、マニアックな話にもなってくるんですけど、なるべくですね、分かりやすいような形でお話したいと、努めさせていただきたいと思いますが、言葉足らずな面もあると思うので、ぜひ質疑応答の際にですね、何でも聞いていただきたいなぁと思います。1時間ほど話してですね、その後はみなさんから質疑、あるいは議論、していきたいなぁと思っておいます。


それでは、はじめさせていただきたいなぁと思うんですが、まずは自己紹介からさせてください。私今NPO法人フローレンスというですね、NPOの代表をしております、経営者です。と同時にですね、内閣府の非常勤国家公務員(音飛び)そちらの審議会の事務局の民間のスタッフをさせていただいております。ですので 現場で事業を回しつつも公務員としてですね政策の立案に関わっている立場でおります。私が病児保育というものをはじめた切っ掛けというものを最初にご説明させていただきますと、実は私の母がベビーシッターをしていたことが切っ掛けでした。


私の母は下町出身の(音飛び)突然電話をかけてきてですね、非常に元気無さそうに電話をかけてきたんですね,どうしたの?というように聞いたらですね、実はショックなことがあったのよと(音飛び)お客さん、双子のママなんだけども、その彼女が急に今日で最後にしてください、ということを言い出したと言うんですね。(音飛び)あなたはこの双子の子供のたちの親代わりになってくれていて本当に心から感謝している、そうじゃなくて私が会社をクビになってしまったので、もうシッターさんを頼む必要がなくっちゃっただけなんですよ、というふうにその方は言われたんですね。


うちの母は理由を聞きました。なんであなたみたいないい人が?
そしたらですねその方はこう言われたんですね。
実はこの前この子たちが熱を出しましてね。私が行かせている保育園は37度五分までしかあずかってくれません。ですから私が会社を休んでこの子たちを看病するしかありませんでした。双子だからお互いに移しあってしまって割と長い間会社を休まざるを得ませんでした。そしたら会社が激怒して私は事実上解雇という形になってしまったんですよ
ということをその方が言われたんですね。


その話を私は聞きましてですね、ひじょうに不思議な気分になりました。というのも、お子さんが熱を出す、というのは当たり前の話ですし、親が看病してあげるというのも親として当たり前の話です。しかし当たり前のことをして職を失ってしまう(音飛び)そういった社会に住んでいたのか、ということをその時はじめて知りました。


それが一つのを切っ掛けになりまして、私は前職はITベンチャーを経営していたのですが、それを共同経営者に譲ってですね、いちフリーターになり、このNPOの起ち上げというものを行って来ました。NPOの活動を通じて、この病児保育問題を解決できないかな、ということから発進していったわけなんですね。


この病児保育、みなさん来ていただいたからにはぜひ知っておいて頂きたいのですが、この言葉を。風邪や発熱など軽度な突発的な状況で(音飛び)ちょっと重い言葉になるんですが実際は風邪とか熱とか(音飛び)お子さんです。ですので重いと入院というふうになるんですけれども、その手前ですね。熱がある、だけれども、まぁ保育園に行けないけれどまだ元気というような、そういった子をお預かりするのが病児保育となっています。


この病児保育のニーズというのは非常に高いものがあります。例えばですね、仕事と育児の両立で最も悩むことはなんですか?という問いかけに対してですね、ー小さいのでちょっとお手元の資料をご覧になっていただきたいんですがー子供の病気で遅刻や欠勤をすることがあって周囲に迷惑をかけてしまうというかたが、なんと72%もいらっしゃいます。


またさらに必要性を感じている育児支援制度はなんですか?という問いかけに対しては、子どもの看護休暇ー子どもを看護するために休ませて欲しいーといわれる方が9割弱。
またさらに保育園に子どもを預けていて不満に思うことはなんですか?という問いかけに対しては、病気の時も何とか預かって貰えないかというようなこと(音飛び)こうした方々が必要としているようなサービスなんですね。
しかしですね、全体的に、病児を預かる施設というのは極度に少ないというような現状があります。全国に845、私がはじめた当初(音飛び)
これは保育園の数と比べると一目瞭然です。みなさんの中に保育園が全国に何箇所あるかご存じの方いらっしゃいますか?
答えば24000です。
24000に比べると800ちょっとというのは非常に少ない。
3%程度ということになるでしょうか。
ですので、残りの九十数%の地域では、こうした熱を出した時に預かれる施設というものの恩恵が行き渡らない。つまり使えないということになります。


日本の殆どの地域で病児保育というものはアクセスできない、というようなことになります。
なぜでしょうか? こんなに必要性があるのに、なんで供給がこんなに少ないんだろう、というところなんですけども答えは簡単です。経済的に自立ができないということです、が故に新規参入に結びつかないで広がらないということになります。
これはですね議員の方にぜひ知っていただきたいんですが、この原因の一つが補助金です。補助金というものが厚労省からでています。厚労省・都・区、三分の一ずつ出すような補助金が出ておりますけれども、この額が大変少ない、ということなんですね。補助金の額が少ないがゆえにやっていけません。さらに少ないのに輪をかけて一回補助金をもらってしまうとですね(音飛び)
保育士を置かなくてはいけない、看護師を置かなくてはいけない、何平米なければいけない、そういったですね、たくさんの手枷がついていくわけですね。
だけれどもまぁ、子供の命を預かる仕事ですから、いろんな安全性を担保してそういった条件がつくのは、いた仕方ありません。だけれどもその手かせ足かせというのは実は料金の部分にまで及んでしまいます。具体的に言いますと、親御さんから貰える額というものもお上に決められてしまいます。一日に貰えるお金が2000円までだよとふうに決められてしまいます。ですので一日2000円しかもらえないわけですね、お客さんから。


一日2000円、これはベビーシッターを預けたことがある方だったらお分かりのとおり大変安いです。東京のベビーシッターの平均は大体一時間1500円~2000円ですね。一時間です。ですので、こちらは一日預かって2000円払えばいいだけなので、利用者としては大変嬉しい料金構造になってますが、事業者としてそれで成り立たせるというのはほとんど不可能です。じゃあ補助金が存分にあるかといいますと補助金は全然無い、ということになりますので、どうしても赤字になってしまうというような構造になるわけですね。こうして病児保育の施設というのはなかなか広がっていかないということなんです。そこで私たちは考えたんです。(音飛び)だったらじゃあ、お上からお金なんてもらわずに自分たちで病児保育の新しい事業構造を作っていこうじゃないかと、そういうふうにはじめたのがフローレンスなわけです。


特徴は二つあるんです。一つは施設を持たないというような新しい(不明)、二つめはお金のいただき方を共済のような形にしたというところが特徴です。
まず一つ説明しますと、施設を持たない、ただし困ったよ、というときはフローレンスにご連絡をいただきます。そしてフローレンスは地域に子どもレスキュー隊という元保育士さん、元幼稚園の先生、あるいは子育て経験がある方、こういった方々をネットワークしておきます。そしてこの方々がお子さんのもとまで駆けつけます。で、お母さんとバトンタッチして、このお子さんをいつも診ている掛り付けのお医者さんの元まで搬送させていただきます。で、お医者さんが受診してこの子は預かって大丈夫だよとOKを出してくれたら、今度はこの子供レスキュー隊員の家や、あるいはお子さんの家でお預かりするというような仕組みになっております。
しかしですね、このあずかっているお子さんは熱を出して高リスク時ですので、お医者さんとの連携が欠かせません。地域のお医者さんと提携いたしまして、いつでもお医者さんのアドバイスを聞けるという様な体制を作り上げております。
こうしたですね、地域の方々、地域の子育て経験がある方や元保育士さんが小児科とタッグを組んで熱を出した時も安心してお預かりしてくれる、というような仕組みでございます。


現場の写真はこんな感じなんですけれども。
ちなみにこちらの方、誰かに似てると思いません?そうですね、私のオカン、ヤエコ66歳でございますね。
こうしたですね、ビジネスモデルなんてカッコいい言い方をしてもですね始まらないですが、そうしたものを机上の空論で考えるのはできるんですけども、じゃあ預かってくれる人はどこにいるの、というとなかなかこの世代の女友達はおりませんでして、そこで思い出したのが身内、ということで早速実家に帰って母親に土下座して、それこそヘッドハントをしてですね、はじめたと。で、その春にですね、ありがとうお母さん、じゃあはいこれ、チラシ15000枚、ということで渡してですね、僕といっしょに撒きに行ってですね、マンションのですねポストにですね、入れまくって、そうしたですね、子育て経験がある方々を引っ張ってきた、というふうのことをはじめたのが七年前ということでございます。
こんな感じでですね、進めてきました。



地域にはですね、こうした本当に志のあるですね、方々というのがが沢山いらっしゃいまして、例えばこの渡辺さん、この方は渡辺隊員っていうんですけれども、渡辺隊員はですね、別に保育士でも看護師でもないんですが、二人のお子さんを立派に産んで育てて、いらっしゃる方で、この方は子どもが熱を出してないにもかかわらず、渡辺のおばあちゃんに会いたいと駄々をこねる、という都市伝説を持っていらっしゃる。非常に人気でですね、親御さんから(音飛び)指名が来る、子育て経験を活かしてすごく心のこもった病児保育をしてくださいます。子どもにあった遊びを発明するというのが大得意な方で、この日もですね、ビニール袋を線状にちぎって遊ぶというという何が楽しいのか私には全く分からないんですけれども、子どもは大喜びっていう、そんな技を発明してですね、子供を喜ばしています。


つまりその病児保育というと、今までの既存のアプローチで言うと医療的に直して上げようという、治療の一環として捉えられていますが、私たちは、子どもは既に治る力を持っているという風に捉えます。その治る力を引き出してあげるような、ある種リラックス(音飛び)そして楽しめる病児保育、我々はそれを感動の病児保育と呼んでおりますけれども、そうした病児保育を提供しようということでやらせていただいております。


同時に安定して経済的にしっかり成り立たなくてはなりません。我々は基本的に病児保育のこの事業においては補助金というものをいただいておりません。ですので自前で成り立たせるということをしなければならないのですが、ベビーシッターのように一時間いくらというようにもらってしまったら成り立たないんですね、かと行ってよくNPOはボランティアなんでしょなんてことをいわれるんですけど、ボランティアではなかなか継続的に事業というものを営めません。きちんと家賃を払って、従業員に給与を与えて、たまには賞与を上げるというようにするには(音飛び)きちんと回るビジネスモデルを作らなくてはいけません、というところで私が考えたのが、月々いくらというお金を掛け捨てていただいて、助けに行くときはただで助けに行きますよという様な、ある種共済、あるいは保険のような仕組みで成り立たせていくということを考えました。


こうした仕組みによってですね、一時間いくらだとですね、ベビーシッターのようにやると相当高額でなければいけないんですけれども、月々いくらであるとですね、だいたい月々6000円位いただければペイするというようなところで、でも使わなければどんどん月会費は下がりますし、使えばちょっとづつ上がっていく様な仕組みにしまして、絶対成り立たないと言われたこの病児保育業界で、なんとかきちんと補助金をいただかなくても成り立つ仕組みというのを作ってきたわけです。
そして、最初はですね、江東区中央区と言うようなですね、下町で事業をはじめたんですけども、徐々に広げていきまして、今東京二十三区プラス浦安市で事業展開をしております。


対企業向けにもですね、法人契約というものをしておりまして、つまり、法人がお金を払う、企業がお金を払って従業員を助けてください、という様な仕組みというのも、やっております。
例えば、株式会社リクルートさんだとかあるいはJPモルガンさん、あるいはロイター通信さん、そういった企業さんが、企業がお金を払って、そして従業員の、ある種の両立、助ける。そうした形でですね、一緒にやらせていただいております。
こんな様な形(音飛び)、家庭においてですね、厚労省のかたが視察に来ていただいて、それでですね、このモデルはいいねということで、2005年からですね、厚労省の方が政策化しました。施設を持たない病児保育というモデルを全国に広げていくという、緊急サポートネットワーク事業という名前で全国に病児保育モデルというのを広げていただいております。今もですね、ファミサポに組み込む形でですね、全国で施設を持たない病児保育というのが、各自治体でやられております。
我々が下町ではじめたモデルというのが今や全国で広がっている、というようなことをしております。


同時に、月々6000円払えないような世帯の方々もいらっしゃいます。特にひとり親の方々というのは非常に経済的に厳しい。こうした方々にはですね、月々1000円払っていただければ完璧に病児保育を提供しますよ、というな格安パックというものを提供しております。
もちろん赤字ですので、そこの部分に関しては寄付で埋めております。月々1050円払ってくださる寄付会員の方が8人いてくだされば、一人のひとり親世帯をサポートできますという、(音飛び)様な形というのを提供しております。
こうしたですね、寄付やあるいは事業を組み合わせながら、すべての世帯に感動と安心の病児保育というものを提供していくという様な事業をしております。それが病児保育事業ですね。


とはいうものの、子どもが熱を出したときに預かるということをしていてもですね、モグラたたきみたいなもので終わらない、本来だったら、子どもが熱を出したときに会社が「いいよいいよ休んで」というふうに言ってくれるというのが無ければいけないと思いまして、会社の働き方を変えてですね、両立しやすい職場にしていこうね、という様なコンサルティングや研修とっていうものもしております、名付けて働き方革命事業というのですけれども、こちらをしております。


同時にですね企業の就業規則を変えてもですね、やはり人々の意識や文化、価値観といったものが真に変わっていかなくてはですね両立というのは難しい。ですので伝える変える事業という名前で沢山のメディアに出まくって病児保育という問題を皆さんに知っていただく、あるいはワークライフバランスという言葉を皆さんに知っていただく、で、働き方を変えようというメッセージを伝えていく。そういった活動を通してですね、みなさんのハートを少しだけ変えてもらって、そして行動を変えてもらう。
皆さんの行動が変われば社会が変わるっていく、というふうに信じてですね、いろんなメディアでいろんな風にうったえさせていただいておりますし、この勉強会もある種の伝える変える事業の一環でございます。


このような事業を通じてですね、子育てと仕事、そして自己実現(音飛び)子育てと仕事の両立なんて当たり前ですというような社会というものを作っていきたいなと思っております。ちょっと長い自己紹介だったんですけれどもこのような事業をしております。現場で社会の過大を解決するような事業というものをまさにやっておるんですけれども、実は昨今私病児保育問題に加えて、待機児童問題を解決する事業というものを始めました。


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