情報の海の漂流者

web上をさまよいつつ気になったことをつぶやいています。

蓮舫「父親から、日本国籍を取って日本人として生きろと言われた時が、人生で一番屈辱的な事だった。」→これの出典はどこ?



『蓮舫議員は「父親から、日本国籍を取って日本人として生きろと言われた時が、人生で一番屈辱的な事だった。日本人になることの悔しさで一日中泣いた」と雑誌のインタビュー記事の回顧録で語っていた』というのは何年か前から出回っているコピペなんですけど、これって出典はどこなんだろう。
この件については2011年2月に人力検索はてなで

という質問があって、その時ある程度調べたのだけど、出典に到達することはできなかった。
というか、そもそも蓮舫議員は日本国籍を「取ったり」「日本人になる」必要性がある人なんだろうか?
当時僕が人力検索に書いたコメントは以下のとおり。


fut573 2011/02/07 11:38:56
ソースを発見できなかったのでコメント欄にて。


まず蓮舫さんは、台湾人の父と日本人の母との間に生まれました。
この時点では台湾籍です。


1985年の国籍法改正により、日本人の母から生まれた人は日本国籍を自動的に与えられます。
これで多重国籍になります。
ここで、台湾籍と日本籍両方を多重国籍者になります。

多重国籍を持つ人は、22歳までにどちらの国籍を選択するかを決めなければいけないのですが、wikipediaによると蓮舫さんは18歳の時に日本国籍を選択したそうです。(一次ソース不明)
これで、日本国籍になります。

つまり、蓮舫さんが日本国籍を取得したのは、法律改正によるもので、自らの意思や父のアドバイスが原因ではないと考えられます。
(国籍選択により、台湾の国籍を破棄したのは自らの選択です)

したがってこの噂のようなシチュエーションがあったというのは非常に疑わしいと思います。
また、僕がざっと調べた限りでは、問題の雑誌、具体的な名前が出てきません。
これは典型的なデマの様式を備えています。
具体的なソースが出るまでは、デマだと判断しておいたほうがよろしいかと。


『蓮舫議員は「父親から、日本国籍を取って日本人として生きろと.. - 人力検索はてな


要するに蓮舫議員は、日本人と台湾人との間に生まれた子で、ハーフとかダブルとか呼ばれる立場なんですね。
昔の日本では、「日本人の父親と外国人の母親の間に生まれた子には日本国籍が与えられる」が「日本人の母親と外国人の父親の間に生まれた子には日本国籍が与えられない」という制度だったんです。
で、それはおかしいんじゃないのか?という議論があって、今では片親が日本人なら親の性別がどちらであってもその子には日本国籍が与えられる」ように制度が変わったんです。
蓮舫議員は年齢的にこの国籍法改正が適用され、法律改正により日本国籍を自動的に与えられたケースなんじゃないの?ということを当時コメントしたわけですね。
で、18歳の時にやったのは国籍選択制度を利用した国籍の選択なんじゃないのかと。

「国籍選択制度」とは,出生により外国国籍を取得した日本国民など,日本国籍と外国国籍を有する重国籍者が,所定の期限までに日本国籍か外国国籍のどちらかを選択する必要があるというものです(国籍法14条)。これは重国籍者を解消するために設けられた制度です。


国籍の選択とは,どのような制度ですか。【戸籍・国籍に関する質問】

だから僕は、そもそもこのインタビューのようなシチュエーションが存在したのかどうか疑問なんです。
で、気になってこのインタビューの出典を探してみたんだけど、これがぜんぜん出てこない。
少なくても、僕が調べた段階ではネット上でこの件に付いて言及している人が、出典を明記しているケースは見つからなかった。
雑誌のインタビューだということなので、大きな図書館でバックナンバーをいくつかチェックしたのだが、その図書館に保存されてる中では、このような記述がある雑誌を見つけることはできなかった。
で、蓮舫議員に言及した雑誌全てをチェックするのは労力的に不可能なので(悪魔の証明的になる)ある程度調べたところで自力で出典を下がることを諦め、この件については具体的な出典が示されない限り、デマと仮定しておこうというのが僕の現在の判断となっているわけです。
もし誰か、この件について出典を知っている方がいたら是非教えて下さい。

寄せられた情報1


に天声人語(朝日新聞、97.10.1)が引用されている。(原典未チェック)
該当部分を孫引きしよう。


台湾人を父にもつタレントの蓮舫さんは、十九歳のとき日本の国籍をとった。日本名は日本人の母の姓と、本名の「蓮舫」で申請した。すると、「本当にいいんですか、日本人じゃないことが名前でわかりますよ」と言われた。「何が悪いのですか」と言い返したが、一生忘れない言葉だ、と語っている。


半月城通信 No.41

考えてみれば、雑誌のインタビューがtweet一回140字に収まる文量ということはあまりない。
1.蓮舫議員は問題の発言を本当にした
2.蓮舫議員は問題の発言をしてない
以外に
3.要約の仕方が恣意的。伝言ゲームの過程で文脈が剥ぎ取られ意味が変化した
という可能性もあるわけだ。
「人生で一番屈辱的な事」とされているのは、「日本人になること」自体ではなく、その関連で言われた心ない言葉?という仮説もありえるのか?
これも要検証。
とりあえず、「蓮舫議員は日本国籍を申請する時、一生忘れないような言葉を浴びせられた。ソースは朝日新聞天声人語1997年10月01日」
という情報があることがわかった。